すべての記事 / 家づくり日記 / 土地探し / 2019.07.04

擁壁のある土地で気を付ける事(1)

家を建てる時に、隣地の土地や道路との間に高低差がある時は、その高さや斜面の角度に応じて適切な擁壁(ようへき)を造成しなくてはなりません。
鎌倉は山に囲まれた地形なので斜面に建つ家については擁壁を擁する宅地が多いのも特徴です。
これから皆さんが物件を見学するにあたって、擁壁がある中古住宅や土地を多くみられるかと思います。
検討する物件に擁壁があるとき、どのような点に注意するべきなのかを考えてみましょう。
擁壁に関する注意ポイントは色々あるのですが、次の3点を特に気を付けましょう。
1、どんな構造で造られているのか
2、擁壁に亀裂が入っていないかどうか
3、擁壁に水抜き穴が設置されているかどう

① どんな構造で造られているのか
鉄筋コンクリート造
擁壁の造成する基準として、宅地造成等規制法には「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積み造その他の練積み造のものとすること」と書いてあります。

鎌倉でも新築工事現場や不動産業者による宅地造成現場ではコストパフォーマンスと強度の取れる鉄筋コンクリート造の擁壁が主流になってきています。

写真 コンクリートの擁壁 新しめ
新しい擁壁なら、欠陥工事がなければ強度は問題ないでしょう。
写真 タイル張りした新しい
表面をモルタルタイルで貼った化粧擁壁も増えてきました。

間知石、間知ブロックを用いた擁壁
鎌倉には間知(けんち)石、間知ブロックを用いた擁壁も多いです。

大きさが揃った石またはブロックを積む工法で、石を6個並べると約1間(約180センチ)になることから、「間地」と名付けられたようです。

写真 間知石の根っこ部分が分かるやつ
間知ブロックの後ろはこんな形状になっています。
石やブロックの隙間をコンクリートで固めたり割石などを詰めたりするほか、目地にはモルタルやコンクリートを充填する工法を練積み(ねりづみ)といいます。
間地石はこの工法で造成されます。

写真 古い間知石
少し古い間地擁壁の例

間知石や間知ブロックの積み方は色々ですが、鎌倉では水平方向に並べる布積(ぬのづみ)や斜めに積む矢羽積(やばねづみ)が多くみられます。

写真 間知石 横積みのやつ
布積の擁壁
写真間知石の矢羽積み
矢羽積の擁壁
写真 石の模様が入ったコンクリートブロックの擁壁
大きなコンクリートブロックによる擁壁の例

大谷石による擁壁
コンクリート造や間知石、間知ブロック(練積み)による擁壁は基準法に定められたものですので、亀裂や排水上の問題などがないかぎり、安全面での心配はありません。

しかし、鎌倉の住宅地でよく見かける大谷石(おおやいし)による擁壁は気を付ける点が少しあります。

大谷石は間知石や間知ブロックに比べ、一般的に強度面でやや劣るものとされていますが、その状態や排水に特段の問題がなければ、心配するほどのものではないようです。

ただし、大谷石の擁壁は風雨による劣化進行が早い為、ひび割れやふくらみなどがないか、排水施設に問題がないかなど、細心の注意を払うことは必要でしょう。

その他の石積み擁壁
その他の石積み擁壁でも、練積みによって個々の石が固められていれば、亀裂や排水などの問題がないかぎり大丈夫です。
要は「亀裂や排水問題」が無いという事が重要なのですね。

写真 玉石の擁壁
二階堂の玉石積(練積み)の擁壁
写真 石積みの降擁壁
石積(練積み)の擁壁

しかし、擁壁の裏側や目地がコンクリートなどで固められず、ただ単に石などを積んだままの空積み(からづみ)の場合には十分に注意しなければなりません。空積みとは状態であり、強度的に不安定なものとされています。

写真 石罪の擁壁に植物が生えている
空積みの擁壁は強度的に問題あり
戦前の日本には熟練した石工が多く、昔の空積み擁壁はかなり強固だったという話も聞かれますが、全ての擁壁が熟練工の施工とは限りません。

空積みと同じく強度的に不安定とされるのがガンタ積擁壁で、解体した古いコンクリートの塊などを再利用して造られたものです。

写真 ガンタ積み擁壁
ガンタ積は劣化や剥落が目立つことも多い
コンクリートブロックで造られた擁壁
しかし、空積みやガンタ積よりもさらに危険性が高いとされるのは、コンクリートブロックで造られた擁壁です。そもそもコンクリートブロックは土留め用途としての適性がないものとされており、建物の再建築時などには擁壁の造り直しを指導されることもあるでしょう。

コンクリートブロックの擁壁がある土地や住宅の購入を検討するときには、擁壁の造り直しを前提として資金計画を立てることも必要です。
(コンクリートブロック塀と混同しないように……)

写真コンクリートブロックを立ち上げた擁壁
コンクリートブロックは擁壁に適さない

こんな構造にはご注意!
増積擁壁
また、少し古い住宅地などでは増積(ましづみ)擁壁も比較的多くみられます。増積部分の高さが高いほど危険だとされ、とくにこれが2m以上の場合には擁壁全体の造り直しも検討しなければなりません。別名二段擁壁とも呼びます。

写真 コンクリートブロックの二段擁壁
増積部分がコンクリートブロックだとさらに危ない!
写真大谷石の二段擁壁
大谷石による増積の例
写真 三段重ね
三段重ねの増積もみられる
写真なんだからわからない擁壁
何だかよく分からない材料が練り込まれた増積も
土地や住宅の購入を検討する際の注意点
これらの増積擁壁がある土地や住宅の購入を検討するときにも、擁壁の造り直しを前提として資金計画を立てることが必要となってきます。

ただし、外見上は増積にみえる部分が、実は単なる塀(裏側に土がない)の場合もあります。それが購入を検討する物件であれば、敷地の内側からよく観察するようにしましょう。

一方、コンクリート造や間知石、間知ブロックなど練積みによる擁壁は安全だといっても、そこに亀裂、ひび割れ、石のずれやふくらみなどがあれば危険性が生じるため、しっかりと確認をすることが欠かせません。

写真ひび割れの擁壁
ひび割れが広範囲のときはとくに注意
写真 間知石が浮いている 写真
石が浮いたりずれていたりする場合も要注意
しゃしん  擁壁に浮きが出ている写真
擁壁全体のふくらみにも気をつけたい

また、空積み擁壁の目地の隙間に後からコンクリートやモルタルを流し込んで補修をしている例もみられます。すぐに劣化や剥落が始まり、強度的にはあまり効果がないでしょうが、補修直後には練積みと見間違えることがあるかもしれないので注意が必要です。

写真 間知石の間の割れをコンクリートで直している写真
表面的な補修だけでは強度を高めることが困難

なお、通常の擁壁とは異なりますが、敷地の中にある斜面全体をコンクリートで固めている例もみられます。

斜面全体をコンクリートで覆った写真
斜面全体をコンクリートで覆った例

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